2026年5月19日火曜日

教えるということは、「良いところ」を見つけること


 レッスンをしていると、いつも考えることがあります。


短い時間の中で、音楽だけではなく、何か生きていく上でのヒントのようなものを渡せないだろうか。


そんなことを日々考えながら、生徒さんたちと向き合っています。


私は大人の生徒さんもレッスンしていますが、今回は子どもたちとの関わりについて少し書いてみようと思います。


子どもと接する時、私は自分が小学生だった頃、中学生だった頃、そして高校生だった頃のことを思い起こすようにしています。


私自身、子どもの頃は不器用な部分も多く、感情のコントロールがうまくできない時期もありました。


そんな小学生の頃、私が当時チェロを習っていることを知っていた学校の音楽の先生が、


「音楽会で弾いてみない?」


と声をかけてくださったことがありました。


その経験は、当時 なんとなく自信をもてないでいた私にとってとても大きな出来事でした。


「自分にもできることがあるんだ」


そんな気持ちを持てたことが、自分を少し変えてくれたように思います。


だからこそ今度は、私が子どもたちに自信を持ってもらえるようなレッスンをしたいと常々思っています。


レッスンでは、「良いところを見つけること」をとても大切にしています。


たとえば、


「今の音色すごく良かったよ」

「その弾き方で出る音は本当に良い音だね」

「耳が良いから今の違いちゃんとわかるよね」


そんなふうに声をかけることがあります。


子どもたちは、自分の良さにまだ気づいていないことがたくさんあります。


だからこそ、大人がそれを見つけて言葉にしてあげることには、大きな意味があると思っています。


もちろん、子どもですから忘れ物をすることもあります。


でも私は、まず「どうしたら今日のレッスンを良い時間にできるか」を考えます。


「忘れちゃった? じゃあ先生のタブレットに入ってる楽譜を使おうか。そこに書き込みしていくから、最後にプリントアウトして渡すね」


そんなふうに、その日の状況の中で一緒にレッスンを作っていきます。


もちろん最後には、


「次回は持ってきてね」


と優しく伝えます。


大切なのは、「失敗したら終わり」ではなく、


「失敗しても大丈夫。そこからどうするかを考えればいい」


という経験なのではないかと思うからです。


できないことがあった時も同じです。


私は、「どうしてできないんだろう」ではなく、


「どうやったらできるようになるか」


を一緒に考えていきます。


一緒に取り組みながら解決法を探していく。解決していく過程を一緒に歩み、「できた」という経験をしてもらいたい。


そんなレッスンを大切にしています。


子どもたちはまだ成長の途中です。


でも、一人一人に必ずその子だけの良さがあります。


私は音楽を通して、


「君には良いところがあるんだよ」

「君は素晴らしい存在なんだよ」


ということを伝えていきたいと思っています。


もしかしたら、子どもの頃に私に声をかけてくださった音楽の先生も、そんな思いだったのかもしれません。